うちゅうリブ

メンズリブ的なアプローチで、さまざまな話題を語り合う「うちゅうリブ」の公式ブログです!

第21回「うちゅうリブ」実施報告ーセルフ・ネグレクトー

こんにちは、家来@kerai14です。第21回うちゅうリブ「セルフ・ネグレクト」回の実施報告です。

 

実施概要 

日時:4/18(土)19:45~21:45
テーマ:セルフ・ネグレクト
参加人数:18名
開催方法:Zoomによるオンライン開催

 

テーマのおさらい

セルフ・ネグレクトとは、自分自身による自分自身に対するネグレクトのことである。掃除や食事、病気や怪我の治療など、生活に必要な最低限の行為をしない/できない状態を指す。男性学では、しばしば家事などのケア労働をしない/できない男性が問題視される。今回のうちゅうリブでは、ケア問題へのアプローチの第一歩として、自分自身をケアしない/できないことについて語り合った。

 

当日の進行

人数が多いため、2グループに分かれてディスカッションを実施し、そのあと全員で集まり1人ずつ感想を発表した。

今回は2グループに分かれたため、主催である家来@kerai14も、自分が参加していない方のグループディスカッションの内容を把握していない。以下は、私の参加したグループディスカッションの内容をまとめたものである。

 

まとめ

自分自身の家が「汚部屋」「ゴミ屋敷」と呼べる状態にあったという体験談や、家族や近所の住人がセルフ・ネグレクトに該当する状態にあったなどといった、さまざまなエピソードが語られた。

 

セルフ・ネグレクトとは何か

参加者それぞれの意見や体験談が語られる中「どの程度の状態をセルフ・ネグレクトと呼ぶべきなのか分からない」という声が挙がった。たとえば風呂に入るのを一時的に怠ることは、一般的には不衛生であると考えられている。しかし当人にとって、心身の回復のためにあえて入浴をサボることが必要な場合もある。また、あえて部屋を汚くしたり、何かに依存したりすることで、精神の均衡を保っている場合があるという意見が挙がった。そのようなケースを一律に問題視すべきではないのかもしれない。

 

問題視すべきラインとは

では、どのような状態をセルフ・ネグレクトとして問題視すべきなのか。その線引きは他者との関係によって決まるのではないかという意見が挙がった。たとえば「汚部屋」や「ゴミ屋敷」は、当人が嫌だと思わなければ、それ自体を問題視する必要はない。ただし悪臭や害虫の発生により近隣の住民からクレームが入れば、問題視せざるを得なくなる。人間の生活は決して一人では成立しない。他者との関係のあり方によって、問題視されるラインは変動する。

 

セルフ・ネグレクトという語を使うべきか

そもそもセルフ・ネグレクトという語を使用すべきではないという意見も挙がった。セルフ・ネグレクトとは、孤立する高齢者を支援する文脈で使われる管理者目線の用語である。また、どのような条件を満たせばセルフ・ネグレクトに該当し、どのような生活習慣を目指すべきなのかという明確な基準もないため、その対象を無限に拡張できてしまう概念である。そのような語を個人レベルでカジュアルに使用することで、過剰に予防的な健康管理を自他へ強制してしまう恐れがある。男性学メンズリブは、男性の加害性や社会的な優位を「男らしさ」への執着という精神面に注目して説明する性質上、自己責任論との親和性が高い。本来は管理者の目線で用いるべき語を、うちゅうリブのテーマとして個人レベルの問題に転用することで、より自己責任論的な風潮を助長してしまう危険性がある。私が書いた当イベントの告知ブログの内容を疑問視する声も挙がった。

セルフ・ネグレクトという語を他人に押し付けるべきではないというのは、多くの参加者に共通する見解であった。また自分自身に向ける場合も、語感のインパクトのせいで余計に追い詰められてしまうのではないかと危惧する声もあった。

反対にセルフ・ネグレクトという語を有効に使っても良いはずだという意見もあった。自分自身をセルフ・ネグレクトであると規定することは、危機的状況を把握し、対策に向けた一歩を踏み出すきっかけになり得る。

 

セルフ・ケアの実践に向けて

セルフ・ケアには「やらないと後で困ることを先取りでやる」性質があるという指摘があった。たとえば吐き出したガムをゴミ箱に捨てずにポケットに入れておくとする。その時は特に困らないが、数日後ポケットからイヤホンを取り出そうとする時にガムがくっついて不快な思いをするかもしれない。買い物をする時に、予めなくなりそうな洗剤やトイレットペーパーを買っておくことで、いざ使用したいときにないという事態を未然に防ぐことができる。セルフ・ケアの実践において「先取り」が鍵であるとするならば、逆にセルフ・ネグレクトとは「先取り」のサイクルが回らなくなった状態と言えるかもしれない。

また心身を回復する手段として、散歩など、デメリットが少なく、深みにハマらない趣味を持つと良いという意見があった。

ただし、そうした実践には気力や体力がある程度必要であり、それらが尽きている状態の人には実践が難しいのではないかという声もあった。

 

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務となり、通勤に費やしていた時間が自由になったことで、家事や身だしなみなど自分自身のケアに充てる時間が増えたという参加者がいた。一方、もともと「ゴミ屋敷」や「汚部屋」の状態にあり、在宅勤務が難しいという参加者もいた。在宅の機会が増えることで、自分自身の住まいの管理が、より切実な問題として浮上するケースもあるようだ。

 

運営上の課題

せっかく議論が盛り上がってきたところで、残念ながら時間切れとなってしまった。参加者からは「個々の論点をもっと掘り下げたかった」「他の論点についても話したかった」という意見が多く挙がった。次回は二次会のようなものを設定し、希望者のみ延長戦ができるようにすると、より盛り上がるかもしれない。

 

Zoomによる初のオンライン開催

今回はZoomによる初のオンライン開催であった。オンラインではセンシティブな話題を語りにくいという声があった。会場に集まる場合とは異なり、多くの参加者は自宅から配信している。家族に聴かれたくないプライベートな話題はどうしても話しにくくなってしまう。また、Zoomでは相手の反応が見えにくいため、自分の発言がどのように受け止められているか不安になり、話しにくいという声もあった。これらはオンライン開催の弱点である。

新型コロナウイルスの影響により、うちゅうリブは今後しばらくオンライン開催を継続せざるを得ないと思われる。今回の反省点を踏まえ開催方法を検討していきたい。