うちゅうリブ

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第11回「うちゅうリブ」告知 —本田透『電波男』読書会—

どうも、臨時主催人のケープラ(@maoukpp)です。これまでメンバーとして、皆勤ではないがうちゅうリブに参加してきた(ちなみに「うちゅうリブ」の名付け親も実は私だったりする)。
さて、まず告知の概要から。

第11回「うちゅうリブ」開催内容

テーマ

本田透電波男』読書会

課題図書

電波男

電波男

Amazonレビューを見る限り、差異はないようなので文庫版でもOK。ただしページ数が違うので、読書会としては若干不便)

日時

2019/4/20(土) 19:45〜21:45(途中参加、退出可)

会場

大久保地域センター3階会議室B(東京都新宿区)

定員

10名(先着順)

会費

200円(会場費)

参加申し込み

主に「恋愛資本主義」の第1章とまとめの4章を取り上げる予定。課題図書を持参でき、通読している人なら誰でも参加可能。
Twitterで共同主催者のケープラ楽団@maoukppまたは環@fuyu77または久真八志@okirakunakumaアカウントにご連絡ください(DMでもリプライでも可)。

Twitterアカウントをお持ちでない方は、メールアドレスuchulib@gmail.comまでご連絡ください。

以下、告知記事としては少し長いが、導入部・レジュメとしてお読みください。あくまで私の個人的見解なので、これに対する批判や反論も大いに歓迎。

なぜいま本田透電波男』(2005年出版)か

2月の前々回、第9回で『現代思想』男性学特集の読書会をやった。そこに載っていた記事の参考文献の多くに『電波男』が挙がっていたにも関わらず、直接的な言及がほぼなかったのが不満だった。『現代思想』の編集方針なのか男性学全体なのか知らないが、どうもアンチフェミ的な言説は無視されている。
2次会でそれを言ったら、「読書会やりましょう」となった。これは意外だった。うちゅうリブに多いフェミニズムに親和的な人は『電波男』など大嫌いだと思っていたからだ。その上、主催は私である。
電波男』は14年も経っているが、オタク層限定とは言え比較的広く読まれた。文庫化もされているし、新書アレンジ版『萌える男』もある。非モテ論はもちろん、今インターネットを跳梁跋扈するアンチフェミの源流にもなっている。オタク=非モテは差別されているなどの男性差別論や、「キモくて金のないおっさん(KKO)」を持ち出す弱者男性論系の。
私も当時これを面白く読んだ。だが今、2019年の男性として、『電波男』は乗り越えなければいけない壁だと思っている。過去の自分と向き合い、決着をつけたい。2020年代への大きな宿題を、片付ける。
決して、電波男をただボロクソけなすことが目的ではない。男性以外で「非モテコンテンツ」としてこれを消費した人もいるかもしれないし、色々な人の見解を聞きたいのでいつものように男性以外の参加者も歓迎したい。

恋愛資本主義とは何か

ニーチェの「神は死んだ」以降人間はすがるものがなくなり、恋愛にすがるようになった。それが資本主義=消費社会と結びついたのが現代。世の中が「カネを稼いで恋愛しよう」という価値観になってしまった。男がモテるには、顔かカネ(地位・権力)しかなくなってしまった。恋愛全体が「援助交際」化し、ブサイクはカネで愛を買っているだけ。神に続いて今、愛も死んだ。真実の愛など、どこにもない。

……ざっと要約するとこんな感じになる。『電波男』の問題点は主に当時流行っていた酒井順子負け犬の遠吠え』、倉田真由美だめんず・うぉ〜か〜』を槍玉に上げ女性叩きをしているところだが、これについては後述する。

「リアルを捨て、二次元に行く」というライフハックは成立するか?

このライフハックについて私は否定的である。本のオビにはこうある。

「もはや現実の女に用はない。真実の愛を求め、俺たちは二次元に旅立った」

これは武道のような究極の「オタク道」である。これが実践できる人は一握りのコアなオタクしかいないし、14年経った今、オタクの定義も大きく変わった。ソシャゲ全盛時代、オタクは圧倒的マジョリティとなり、ライトなオタクが増えた。ネットは半端者で溢れ、結果的に『電波男』のアンチフェミ・女性ヘイトだけが残った。
ネットで「恋愛工学」なんてものが流行ったり、結局男はモテたいままだったのだ。俗物オタクに、リアルを捨てる「解脱」などできなかった。神が死に、愛が死に、オタクも死んだのが2019年なのだ。本田透が言っていた「内気で心のやさしいオタク」は、幻想に過ぎなかった。

本田透も、こんな時代は望んでいなかったのではないだろうか。たしかに非モテ男として女性への恨み言を述べてはいるが、露骨な女性蔑視的な発言があるわけではない。フェミニズムにはオタク批判へのカウンターで少し触れただけ、男女平等などの問題については一節も触れていないからだ。あくまで非モテ男のエッセイとして、『電車男』のアンチテーゼとして面白く読めればいいくらいのノリだった可能性が高い(実際、この本は小ネタ、下段の脱線・解説欄が面白い)。
「鬼畜化せずにオタク化せよ」と第3章で述べているように、女性に対し直接的な復讐も否定している。それが今、何かに萌えるわけでもなくネットで女叩きに明け暮れるオタクたちを見て、本田透は何を思うのか。

当日の進行・予定

前述の通り第1章と4章を取り上げる予定だが、参加者が気になった箇所をそれぞれ語っていくという流れでいいと思っている。
主な論点は恋愛資本主義について、それに対する非モテ男のライフハックについて。非モテ男性が女性ヘイトに陥りがちなところをどう乗り越えるか。メインとなる第三の論点については今ここであらかじめ書くことはなく、当日語り合いたい。

それでは、4/20(土)にお待ちしています。共に2000年代にケジメをつけ、未来へ進みましょう!