うちゅうリブ

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第14回「うちゅうリブ」実施報告 —リーダーになりたい?—

今回家来さんと臨時主催をさせていただいたせいろんです。こんばんは。

第14回うちゅうリブの実施報告をいたします。

開催概要

 テーマのおさらい

リーダーシップは男性に求められる、典型的な“男らしい”男性像の一つです。「学校」、「職場」、「趣味のコミュニティ」など日常でリーダー役が求められることも多いです。

学校行事や部活動において、イヤイヤながら委員長や部長といった役割を押し付けられた経験がある人もいるでしょうし、職場において正社員、契約社員派遣社員といった雇用形態に基づく分担や権力関係によってリーダーの立場に立たされることもあるでしょう。

また、リーダー像も多様化しています。カリスマ性を発揮して皆をグイグイ引っ張っていくリーダー、メンバーに奉仕することを重視するリーダーなど従来の“男らしい”リーダー像以外の在り方が提示されてきています。

男性に求められる男性像が変化しつつあり、それに伴ってリーダー像や働き方も変化していくこの世の中で、参加者の皆様でリーダー経験やそれにまつわる思い、自分の思うリーダー像、リーダーに求められる資質について意見交換をしました。

日常のリーダー経験

参加者の職場、学校でのリーダー経験(特に失敗談)が沢山出てきました。人を思うように動かせず一人で全てなんとかしようと失敗した経験や、リーダーとして振る舞わなければならないことへのプレッシャーからメンバーに内心怯えていたという経験など様々な苦悩を共有しました。

特に初めてのリーダー経験について話してくれた人が多く、初めてともなると一つの目標を達成するために人を動かすということ自体が未知の経験であり、みんなまずそこから非常に苦労しているようでした。特に、会社と違って学校でのリーダー経験は、最低限の全員の目標や意思が共有されてないことの方が多く、人がそもそも動いてくれないというところからが問題になるようです。

 リーダー像の多様化

起業家的なリーダーと任命されるリーダーという大分類が提示されました。前者は明確な目的や利益が決まっていて、それらを得るために仲間を集め自発的に“なる”タイプのリーダーであるのに対して、後者は組織の中で定められた目的を達成するための責任の拠り所としての“やらされる”タイプのリーダーであるという分類です。

前者は負う責任の範囲が広く高いリスクを背負う反面、自発的に”なった”のだからやらされ感に悩まされることはない一方で、後者はやらされ感から来る精神的負担はあるものの、取るべき責任の範囲が制限されていているという指摘がありました。

また、非常に面白いリーダー像として、“ダメな子”タイプのリーダー像というものが話に上がりました。上にも下にも常に低姿勢で接して仕事が出来ないことをアピールして助けてもらうというリーダーなのですが、居場所を確保する処世術に長けたリーダー像であると言えるかもしれません。

 リーダーに求められる資質、やってはいけないこと

自分がメンバーとして動いた経験からの、リーダーがやるべき・やるべきでないことや求められる資質についての意見交換も盛り上がりました。

やるべきこととしては、メンバーが効率的かつ快適に作業を出来る場を提供することが基本であるということで全体の意見が一致しました。その為にはメンバーの作業状況や能力を常に把握することも必須になってきます。

逆にやるべきでないこととしては、怒鳴るなどのメンバーを恐怖で支配することがあげられました。このような方法は失敗の隠蔽だけではなく、場の雰囲気を悪くさせてメンバーの離反を招いてしまう恐れのある行為で避けるべき行為と言えるでしょうね。

その他、注意すべきこととしてメンバーへの接し方が難しいという話が出ました。とっつきにくさを感じさせないためにフランクさを重視してタメ口を話す一方、重要な場面では敬語を徹底するという人もいれば、だれに対しても平等で常に敬語を話すという人まで個人の性格がとても出るところだと感じました。

 リーダー役割のゲーム性と自己拡張感

「自分は権力志向など持ち合わせていない」

「リーダーになりたくない」

という参加者が多数派のなか、

「権力を持ちたいとは、どのような気持ちなのか?」

「リーダーになる喜び、面白さ、肯定的な側面とは何か?」

という疑問についても話し合いました。

まず、権力志向のある人間にとって、自分以上に能力のある部下を手足のように動かし、大きな目標を実現することには「自我の拡張」という側面があるのではないかという指摘がありました。

戦国武将を操るシミュレーションゲームなどでは、数値化された情勢や部下の能力値を元に指揮を取るだけで、誰でも名君になれてしまいます。権力志向が旺盛なタイプの人間は、現実においても、ゲームのような楽しさを味わっているのかもしれません。

またリーダー役割の肯定的側面として、メンバーが快適に能力を発揮できるようにマネジメントすることには、やはりゲーム的な面白さがあるのではないかという意見が挙がりました。

必ずしも権力を志向しない人間が「みんなが快適に働ける環境を作りたい」という動機からリーダー役割を引き受ける場合においても、そのなかにゲーム的な面白さを発見できる可能性はあります。

もしもリーダー役割をより楽しく、よりポジティブに引き受けようとするならば、ゲーム的な面白さを見出だすことが、一つの鍵となるのかもしれません。

感想・宿題

メンズリブ団体ということでリーダー適性あふれる人よりはそれにまつわる苦しさを味わってきたという参加者が圧倒的に多数派な会となりました。

しかし、そのことでかえって輝かしい男性性の象徴として思い描かれるリーダー像に対して、現実の苦悩やリーダー像の多様性についての意見を沢山引き出せたのではないかとも思います。

リーダー役にまつわる苦しみをみんなで出し合って共有する中で、各々が日常のリーダー役割で抱えている苦労を言語化して棚卸しするいい場になったのではないでしょうか。この場の語り合いで各自持ち帰ったものを日常に活かしてやっていけたら主催としては喜ばしいことと感じます。

これは個人的な話になりますが、共同主催の私個人もリーダー役を任されている身で、リーダー役やるべき・やるべきでないことについての話を聞いていて普段の自分の行いがどういう風に見られているのかということを認識する大変よい機会になりました。特に、メンバーが効率的快適に作業できる場を提供することという基本に立ち返ってやっていきたいと思います。

最終的には大変なことばかりのリーダー役であることに変わりはないけれど、そんな中でもマネジメントという作業への楽しみを見出してやっていこうという明るい締め方に出来たと思います。