うちゅうリブ

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第13回「うちゅうリブ」実施報告 —森岡正博『感じない男』読書会―

うちゅうリブ共同主催の久真八志です。
第13回の実施報告です。

実施概要

テーマ:森岡正博『感じない男』読書会
日時:2019/06/22(土) 19:45〜21:45
場所:大久保地域センター3階会議室C
参加人数:8名

内容

本を読んで気になったトピックを参加者それぞれが自由に語っていく形式としました。
本の性質上、性の話に踏み込む話が多く、個人のプライバシーにかかわる内容であるため多少ぼかして書かせてもらいます。

参加者が興味を抱いたトピックは、以下の二つの章に関連するものが多かったです。

  • 第2章 「男の不感症」に目を背ける男たち
  • 第4章 ロリコン男の心理に分け入る

以下、章ごとに出た意見をまとめていきます。

第2章

  • マスターベーションと一口にいっても、気合を入れてやるときと適当にやるときがある。気合を入れてやるときはそれなりに達成感や充実感もあり、森岡さんのような虚無感に襲われる感覚はあまりない。射精にもランクがあるのではないか。森岡さんの想定している射精は、最も低いランクのように思える。
  • セックスとマスターベーションの区別があまりないのも気になる。セックスのときは充実感が得られる。
  • 女性はもっと気持ちいいはずだ……という感覚はわかる気がする。少なくともポルノに描かれる女性は気持ちよさそうなので。ところで男性が攻められる側に回るタイプのポルノは森岡さんは見ないようだ。そちらを好む男性にとっては女性の快感の幻想も異なるかもしれない。

第4章

  • 汚い男の体への自己否定の感情が森岡さんほど感じられない。
  • 女子高生の体になりたい、と森岡さんは語るが、なぜ女装という発想にはつながらないのだろうか。森岡さんの場合、服を着るというより「体を着る」という感覚かもしれない。終始肉体をベースにして捉えている。
  • 最近話題として上がることが多いVtuberバ美肉バーチャル美少女受肉)について、森岡さんならどう語るのか非常に興味がある。
  • 森岡さんの「学校に対して射精したい」という感覚がわからない。良い青春を送れなかった故の制服への憧憬ぐらいならばわかるが……
  • ・本では中学生ぐらいの「美少女」が想定されているが、実際の中学生はメイクなどのケアの技術が未熟なことの方が多いのでは。本でも触れられているアイドル・ロリコン写真集のような、幻想の美少女を追い求めてしまう心理はどこからくるのか。自分と対極のものとしてあるのか。

その他

  • 決定版の補章にて介護の話題が出てくる。老人になったとき、自分の体を汚いものと思ってしまうことへの恐怖はもっと考えたい話題だ。
    • 男性の場合、加齢による薄毛やED、加齢臭の問題もある。
  • 最近は自撮り写真を加工できるアプリが高性能化しており、そうして撮った写真を眺めていると自分のイメージの捉え方もポジティブなものになってくる。男性は自撮りを嫌がる傾向があるが、女性に比べて自撮りをしないため、技術も拙い傾向がある。男性はもっと自撮りをすることで、自分の身体への否定感情を変えられるかも?

感想

 ここに書いた意見はごく一部です。紹介できないのが残念なほど様々な名言が飛び出し、大変盛り上がりました。

「感じない男」の内容に対して、部分的にはともかく、あれもこれも同意できるという人は一人もいませんでした。
森岡さん個人について語ったものなので当然ですが。
読書会を開催してわかったこの本の価値は、「森岡さんはこう言っているけど、自分の場合は……」という語りを誘いやすいこと、またその語りの精度・分解能を非常にきめ細かいものにしてくれる点です。
参加者の一人が「森岡さんはかなり極端なところまで深く議論して、頂点をとってくれている。そのおかげで自分との違いを述べやすかった」と言っていました。

複数人で語り合うことで、本書の新たな価値を発見することができました。